分身が欲しい

この土日は、母さんだけが実家へ帰る予定の週末でした。
ばぁばを病院へ連れて行くなどのミッションがある時は、かりんは連れて帰りません。
しかし、今回は特段のミッションもないし、自宅でのKちゃんの仕事が忙しいこともあって
かりんを連れて実家へ帰りました。

元気な頃は、母さんのブッブー(車)に乗って出掛けるのが大好きでしたが
昨年の夏頃から、後部座席にひとりで乗せると、殆ど鳴きっぱなしになってしまいました。

今までにも、ふたりだけで何度か実家へ帰りましたが、延々と鳴き続けるかりんの大きな声に
母さんは頭や耳がおかしくなってしまいそうでした。

でも今は、母さんの脳内でノイズキャンセリングが行われるようになってきた(?)ので
以前ほどは気にならなくなっています。
愛しいかりんの声がノイズだなんて酷い表現ですが、車という密閉された狭い空間では
そう言わざるを得ないくらいの音です。

当のかりんも、痩せっぽちの身体から大きな声を出すわけですから相当に消耗します。
我が家に着いてからは、半ば放心状態で疲れを癒しておりました。

運転する母さんと、かりんの横に座って声を掛けながら撫で撫でする母さん。
これほどまでに、自分の分身が欲しいと思ったことはないかもしれません。

幻の尻尾フリフリ

最後にかりんが尻尾を振ってくれた日から、ちょうど1年が経ちました。
ばぁばを病院に連れていくために1泊2日で実家へ帰っていた母さんが、帰宅した時でした。
尻尾フリフリ…とはいっても、うっかり見逃してしまいそうなくらい弱々しいものでした。

その頃、尻尾は常にダラリと下がったまんまで、フリフリすることはほとんどなくなっており
耳を少しばかり後方へ倒すことで、辛うじて嬉しさを表現していました。
現在は、尻尾が上がるのは排泄する時や、身体を起こす時にバランスを取るためだけになり
「嬉しい」などの感情と連動することは皆無になってしまいました。

シニアになると尻尾を上げる筋力の低下により、尻尾を振らなくなると聞いたことがありますが
それに加え、かりんは喜怒哀楽を顔や仕草で表現することがほとんどなくなってしまいました。
今は、本能的な部分で感じる不快感などを、鳴くことで訴えるのみです。

先日も、1泊2日留守にして戻ってきた母さんを、いつもと変わらない顔で迎えるかりん
そんな淡々とした表情に、喜びや嬉しさの欠片をどうにかして見出したくって
「ただいま~っ、かりん!」と、大袈裟なくらいテンション高めで話しかけてしまいます。

尻尾は動かなくても、かりんの頭の中ではフリフリしてくれている…と思いたい母さんです。

怪獣出現!

寝ている時やうつらうつらしている時のかりんは、毛むくじゃらの天使そのもの。
しかし、ひとたび起きてしまうと、鳴きまくり怪獣が出現します。

「お腹が空いた」「喉が渇いた」「動きたい」「ウンチが出る」など
鳴く理由がハッキリわかる時もあるけれど、その大半がよくわかりません。
撫でていると納まることもあれば、何をしても鳴きやまないこともあって
そんなときは、泣き止まない赤ちゃんを抱え途方に暮れるお母さん状態です。

そんなこんなで、ここ2か月くらい、我が家は日々鳴き声に悩まされており
その強さたるや90デシベルにも達します。
今までは、家にいて鳴き声を出すことは皆無だったので
鳴きまくっているかりんの声を聞いて、宅配便の馴染みのお兄さんが
「新しいワンちゃんですか?」と尋ねられたくらいです。

でも、日中あれだけ鳴いていれば、夜はしっかり眠ることができるようで
今のところ夜中に鳴くことはほとんどありません。
それが、せめてもの救いとなっています。

あんなにも無口(?)だったかりんの変化に戸惑うばかりですが
どんなに変わろうとも、間違いなく母さんの大好きなかりんですから。

愚図った時は

ここ最近、鼻声でクーンクーン鳴いたり、大声でギャンギャン鳴いたり
かりんはしょっちゅう鳴き声を出すようになりました。
「喉が渇いた」「お腹が空いた」など、その理由がわかる時もあるけれど
何を言いたいのかサッパリわからないことのほうが多くなりました。

そんな時は、話しかけながらゆっくり身体を撫でたりさすってみたり
はたまた、居場所を変えてみたりします。
そうすると、少し落ち着いてくれることもあったり…なかったり。

数日前から気温が下がり、エアコンなしで過ごせるようになったので
愚図った時、1階の和室のサッシを開け窓際に移動させてみたところ
外を眺めたりしながら、しばらく静かにしてくれるようになりました。

時折、かりんの横に並んで伏せて、母さんも一緒に外を眺めます。
ボチボチ…外にも出掛けたいね。

認知症も

引き続きご心配をおかけしているかりんの体調ですが
高度を少し上げたり下げたりしながらも、低空飛行で落ち着いています。
脱水症状はないものの、少ししか食べない状態が続いていたので
昨日は、病院で皮下補液をしてもらいました。
そのお陰で、昨日から今日にかけては比較的しっかりしています。

さて、今回、再び食べなくなってしまった時の様子を思い浮かべると
昨年の12月頃とは、少しばかり違っていることがありました。
普通、食べ物が目の前にあると鼻を近づけて匂いを嗅ぎますが
全く嗅ごうともせず、見事なまでに無反応なのです。

そんなふうなことを、ドクターにつらつらと話したところ
「食べ物だと認識していないのかもしれない」と言われました。
つまり、慢性腎臓病の症状でもある悪心による食欲不振ではなく
認知症の症状のひとつかもしれないのです。

しかし、ふとした瞬間、急に食べ始めることもあったりするので
それを逃さないようにするしかありません。
またしても、あの手この手を使いながらかりんの食事に臨んでいます。

認知症のばぁばは食べたことを忘れ、また食べようとする傾向にあります。
かりんも、それくらいがいいなぁ~。