ご飯事情

環境が変わり、かのんがご飯を食べてくれるかどうか心配しましたが
我が家に来た日の晩ご飯、翌日の朝ご飯は気持ちの良い食べっぷりで
幸先の良いスタートとなりました。

…が、喜んだのも束の間、それ以降は最初のように勢いよく食べなくなり
一日の必要量の半分ほどしか食べない日が、しばらく続きました。

こうなると、あれこれ世話を焼きたくなるところではありますが
ご飯を置いたままにしておくことは良くないとわかっていたので
「食べている・いない」に関わらず、30分ほどで撤収するようにしました。

「ある時に食べておかないと、なくなっちゃう」
かのんがそう思ってくれたかどうか定かではありませんが
そうこうしているうちに、やっと食べてくれるようになりました。

「ご飯を食べてくれる」当たり前のような日が2日ほど過ぎたあたりで
あろうことか、またまた食べなくなってしまいました。
この時点で、かのんが我が家に来てから4週間になろうとしていました。

ドクターに相談したら、「今は規則的に食べる習慣をつけることが大事」なので
缶詰(療法食ですが嗜好性が高いらしい)を混ぜて様子を見ることに。
そして、この缶詰を混ぜた途端、朝夕共に完食するようになりました。
朝夕のご飯を食べるという習慣が完全に定着してきたと思えるあたりで
かのんには気づかれないように、缶詰はフェードアウトしていくつもりですけどね。

我が家にかのんが来た時、体重は9.4kgありました。
かりんより身体が一回り小さいのに、9.4kgは明らかに【ちょいポチャ】でした。

でも、1か月経った今は8.4kgまで落ちて、ほぼ適正体重となりました。
普通、ダイエットさせるのはそう容易いことではないと思いますが
結果的に、かのんが自分でダイエットした(?)ことになっちゃったのでした。
「食べた・食べない」と一喜一憂し、紆余曲折はありましたが、結果オーライ?!

受け継がれるもの

超ビビリ?で、想像以上に私たちを手こずらせてくれているかのんではありますが
一瞬、ビビリだということを忘れさせてくれる時もあるのです。
それは、ボールで遊んでいる時です。

前足でホールドしたつもりが、弾かれて跳んでいったボールを必死になって追いかけます。
その姿には、ビビリのビの字もありません。

実は、かのんの前足にのっかっている白いボールは、かりんに初めて与えたオモチャです。

押さえるとピーピー鳴るボールで、笛の部分はあっという間に壊されてしまいましたが
音が鳴らないままの状態でも、そこそこ楽しんでくれていました。
そして、かりんが見向きもしなくなってからも、何となく捨ててしまう気になれなくて
思い出の品としてオモチャかごに入れたまんまにしていました。

<本日のかりん:1歳>

かりんは、このボールを強く噛んでしまうことなく遊んでいたので
笛の部分は壊れても、ボールの部分は無傷でした。
でも、かのんは遊び方が激しくて、とっとと穴を開けてしまいました。

それでも、こうしてかりんからかのんへと受け継がれるものがあるというのは
思い出に再びの命が吹き込まれたようでもあり、胸が温かくなります。

超ビビリ?

かのんが我が家に来て3週間が過ぎました。
3月26日に会いに行った時には天真爛漫な姿を見せてくれたので
私たちにも環境にも、割とすぐに慣れてくれると安易に考えていました。

かのんのハウスは、玄関横の和室に置いてあります。
ここは、寝たきりになってからのかりんが過ごした場所でもあります。

我が家に着いたばかりの時は、そこらを探索したりしていましたが
その後の2週間ほどは、ハウスからほとんど出てきませんでした。
今は、ハウスから出ている時間も少しずつ増えてきてはいるものの
和室からトコトコと出てくることは滅多にありません。

ある日、和室の窓を開けた時、風に揺れるカーテンが怖かったらしく
カーテンが揺れていなくても、その存在を怖がるようになりました。
なので、和室にいること自体が怖くなってしまいました。

その結果どうしたかと言うと、そそくさと玄関のたたきに下りて
外に逃げたいような素振りを見せながら、座り込みました。

一見くつろいでいるように見えますが、玄関から出られないことを知り
諦めモードになりながらも、和室には戻りたくないと訴え中です。
しばらくして、何とか和室に戻らせることができましたが
カーテンが怖いのは相変わらずのようで、困ったものです。

たくさんの保護犬のお世話をしてこられた大先輩でもある友人に話すと
かのんちゃんが特別ビビリなのではなく、最初はこんなものなので
安心して隠れていられる場所を確保してあげることが大切です。
精神的に落ち着き、ここは安心できると思えるようになってくれば
だんだん怯えなくなります」とのアドバイスをもらいました。

ハウスに入ってばかりだったのは、そこがかのんの安心できる場所だから。
出てこないからと無理に出そうとしたり、あんまり構い過ぎないこと。
最初は、放っておくくらいが良いそうです。

三歩進んで二歩下がれば上出来で、三歩進んで五歩下がる日も。
まだまだ時間はかかりそうですが、決して焦らずのんびりいきましょう。
時間はたっぷりあるのだから。

かのんとお花見

例年、一気に咲いたかと思うと潔く散ってしまう桜ですが
今春の桜は、私たちの目を長らく楽しませてくれました。
2013年からずっと、かりんと一緒に愛でた我が町の桜も先週が見頃でした。
深呼吸したくなるような晴れ渡る青空や、目に鮮やかな花々を見ると
「気持ちいいなぁ~」とか「綺麗だなぁ」とは思うけれど
心の目は、どこか寂しさ色のすりガラスを通して見ているかのようでした。

そして、今年の桜は、そこにいるはずのかりんの姿がないという
心にぽっかりと開いた穴を抱えながらのお花見になる予定でした。
しかし、ぽっかりの痛みや、寂しさ色を忘れさせてくれたのが、かのんです。
こうして後ろ姿だけを見ていると、かりんがちょっぴり重なります。

まだ尻尾は下がったまんまですが、外に出るとイキイキした表情になり
まるで子犬のように、あれやこれや目にするものに興味を示します。

こんなお子ちゃまなかのんの様子を、つかず離れず一緒に歩きながら
かりんは見守ってくれているのだろうと思いました。
今までと変わらず、母さんたちと一緒に桜を愛でながら♪

かのんのこと

かりんを譲渡してもらったことがきっかけとなって
以前、私は動物愛護団体のお手伝いをしていたことがありました。
その時の友人が「新しい飼い主さんを探している犬がいる」と
人伝に聞いたそうで、私に声をかけてくれました。

その友人には、かりんが旅立ったことを伝えていただけで
再び犬を迎えるかどうかについては、まったく話していませんでした。
ですから、連絡があった時は本当にビックリしました。

かのんはブリーダーの繁殖犬でした。
一般的には、繁殖犬がリタイアとなるのは6歳くらいだそうですが
かのんは繫殖犬には向かなかったようで、3歳足らずでのリタイアとなりました。
それでも、2回の出産を経験しています。

見せてもらった1枚の写真だけで、家族に迎える決断をする勇気がなくて
話をもらった数日後、会うために出掛けました。
どういう環境下にいる犬なのか、ちょっぴり不安もありましたが
私が想像していたような劣悪な環境とは違って、ホッとしました。

その時に聞いた話では、自分たちブリーダーは良い犬をつくりだし
展覧会で賞を取ることが目的なので、家庭犬のように撫でたりして
可愛がったりはしていないと言われました。
また、名前で呼ぶこともしない(理由があるのですが)そうです。
それは、私たちの知らない世界の話でした。

ですから、かのんは今まで名前で呼ばれたことはなかったし
撫で撫でしながら「イイ子だね」と言ってもらったこともありません。
私たちからすれば信じられないようなことではあるけれど
かのんにしてみれば、それが当たり前の日常だったのです。

当のかのんは、クールな反応の犬だろうと勝手に想像していたのですが
私たちを見た途端、耳ペッタンのニコニコ顔ですり寄ってきて
初対面とは思えないくらい、甘える素振りを見せてくれました。
その天真爛漫な姿を目にして、「我が家に迎えよう!」と決めました。

かのんにとって、今までとはまったく違う日常が始まりました。
成犬を迎えるということの素晴らしさと、少しばかりの難しさとを
私たちも、これからう~んと味わっていくことになると思います。