ご同類対応

かりんはご同類が苦手でした。
穏やかそうな見た目とは裏腹な、かりんの威勢の良いガゥガゥを
愛犬と一緒に会ってくださった方は思い出しておられるかもしれません。

そんなかりんとは対照的に、かのんはご同類が大好きで
散歩中などにご同類を見かけると、テンションが上がります。

こんなふうに後足で立って、前足で「おいでおいで!」します。
この姿に、先方の飼い主さんは笑顔になってくださいます。

場面によっては、恐怖や不安を感じた時に自分と相手の緊張を解そうとする
ボディーランゲージ(カーミングシグナル)でもあるそうですが
かのんの場合は、ただ単にそばに行きたいだけのように思えます。

実際、そばに寄るとお互いにクンクンして平和的に挨拶します。
普通に犬同士の挨拶ができるなんて、かりんではあり得なかったことで
かのんの「良いところ」のひとつです。

<アルストロメリア、マトリカリア、ユーカリ>

当たり前と言えば当たり前ですが、かりんの魅力、かのんの魅力は
それぞれに、面白いくらいまったく違います。
私たちにとって特別な犬…であるかりんの存在は変わらずそのままですが
そこにかのんが加わったことで、犬との暮らしは更に深みを増しそうです。

受け継がれるもの

超ビビリ?で、想像以上に私たちを手こずらせてくれているかのんではありますが
一瞬、ビビリだということを忘れさせてくれる時もあるのです。
それは、ボールで遊んでいる時です。

前足でホールドしたつもりが、弾かれて跳んでいったボールを必死になって追いかけます。
その姿には、ビビリのビの字もありません。

実は、かのんの前足にのっかっている白いボールは、かりんに初めて与えたオモチャです。

押さえるとピーピー鳴るボールで、笛の部分はあっという間に壊されてしまいましたが
音が鳴らないままの状態でも、そこそこ楽しんでくれていました。
そして、かりんが見向きもしなくなってからも、何となく捨ててしまう気になれなくて
思い出の品としてオモチャかごに入れたまんまにしていました。

<本日のかりん:1歳>

かりんは、このボールを強く噛んでしまうことなく遊んでいたので
笛の部分は壊れても、ボールの部分は無傷でした。
でも、かのんは遊び方が激しくて、とっとと穴を開けてしまいました。

それでも、こうしてかりんからかのんへと受け継がれるものがあるというのは
思い出に再びの命が吹き込まれたようでもあり、胸が温かくなります。

閉め切らないドア

子供の頃、襖や障子などをキチンと閉めないで部屋に入ってくると
「ちゃんと閉めなさい」と厳しく叱られました。
なので、ちゃんとドアなどは閉めるようにしていたはず…でした。

でも、かりんと暮らすようになってからはドアをパタンと閉めてしまわず
ドアノブを回さなくても開けられるようにしていました。
どうしてかと言うと、かりんが鼻先でドアを押して入ってくるからです。

<本日のかりん:4歳>

ほら、こんなふうにね。

うっかり閉め切ってしまおうものなら、入りたくても入ることができず
かと言って、ドアをガリガリしたり吠えたりすることなく
ドアの外でじーっと開くのを待っていたっけ。

<クリスマスローズ、マトリカリア>

今でも、私は部屋のドアをパタンとは閉めていません。
それがクセになってしまっているというのもありますが
無意識のうちに、鼻先でドアを押して部屋に入ってくるかりんの姿を
思い浮かべているのかもしれません。

小さな雄叫び

ワクワクで気持ちが高ぶった時、かりんは雄叫びのような声を上げることがありました。
お散歩日和なお天気の日、「さぁ出掛けるよ~!」と言いながら玄関に集合した時や
そして、大好きな土手に向かって車を走らせている時など。

凄~くノリノリな時は、ビックリするくらい大きな声になりました。
それが、まるで「かぁさん!」と言っているかのように聴こえたので
かりん、『かぁさん!』って言って」と、よくリクエストしたものでした。
でも、録画しようと構えた時に限って、はかったように不発に終わってしまうのです。

やっと撮れた動画は、ワクワク度が足りなくて「かぁさん!」とは言いきれておらず
ただの小さな雄叫びで終わってしまいました。

でも、私の声を真似ようとするかのような、かりんの「わぁあん!」という雄叫びは
しっかりとハッキリと耳に残っています。
かりん12歳の頃です。

幻の家族記念日

今日2月23日は、かりんを我が家に迎えた【家族記念日】です。
でも、もうここにかりんはいないので、今回からは幻の記念日となってしまいました。

私が高校生の頃から、実家には常に柴犬がいたのですが
独立して大人になってから、自分の責任において共に暮らした犬はかりんが初めてでした。
「絶対に室内飼い」と決めていたのですが、それゆえに大変なことや戸惑うこともあり
必ずしも、最初っから「犬と暮らすこと」を謳歌できていたわけではありませんでした。

それでも、月日を重ねていくうちに当初のような大変さはなくなり
新たな驚きや喜びなど、小さな幸せが散りばめられた日々になりました。
かりんには、「犬と暮らすこと」の素晴らしさを
これ以上ないくらい、たくさんたくさん教えてもらった気がします。

<本日のかりん:8歳>

私が犬を迎えたいと思った頃、貰い手が見つからなかった幼いかりん
保護主さんに引き取られました。
この、どちらかのタイミングがズレただけで出会いはありませんでした。

私にとって、かりんは特別な犬です。
これまでも、そして…これからも。