かのんとお花見

例年、一気に咲いたかと思うと潔く散ってしまう桜ですが
今春の桜は、私たちの目を長らく楽しませてくれました。
2013年からずっと、かりんと一緒に愛でた我が町の桜も先週が見頃でした。
深呼吸したくなるような晴れ渡る青空や、目に鮮やかな花々を見ると
「気持ちいいなぁ~」とか「綺麗だなぁ」とは思うけれど
心の目は、どこか寂しさ色のすりガラスを通して見ているかのようでした。

そして、今年の桜は、そこにいるはずのかりんの姿がないという
心にぽっかりと開いた穴を抱えながらのお花見になる予定でした。
しかし、ぽっかりの痛みや、寂しさ色を忘れさせてくれたのが、かのんです。
こうして後ろ姿だけを見ていると、かりんがちょっぴり重なります。

まだ尻尾は下がったまんまですが、外に出るとイキイキした表情になり
まるで子犬のように、あれやこれや目にするものに興味を示します。

こんなお子ちゃまなかのんの様子を、つかず離れず一緒に歩きながら
かりんは見守ってくれているのだろうと思いました。
今までと変わらず、母さんたちと一緒に桜を愛でながら♪

かのんのこと

かりんを譲渡してもらったことがきっかけとなって
以前、私は動物愛護団体のお手伝いをしていたことがありました。
その時の友人が「新しい飼い主さんを探している犬がいる」と
人伝に聞いたそうで、私に声をかけてくれました。

その友人には、かりんが旅立ったことを伝えていただけで
再び犬を迎えるかどうかについては、まったく話していませんでした。
ですから、連絡があった時は本当にビックリしました。

かのんはブリーダーの繁殖犬でした。
一般的には、繁殖犬がリタイアとなるのは6歳くらいだそうですが
かのんは繫殖犬には向かなかったようで、3歳足らずでのリタイアとなりました。
それでも、2回の出産を経験しています。

見せてもらった1枚の写真だけで、家族に迎える決断をする勇気がなくて
話をもらった数日後、会うために出掛けました。
どういう環境下にいる犬なのか、ちょっぴり不安もありましたが
私が想像していたような劣悪な環境とは違って、ホッとしました。

その時に聞いた話では、自分たちブリーダーは良い犬をつくりだし
展覧会で賞を取ることが目的なので、家庭犬のように撫でたりして
可愛がったりはしていないと言われました。
また、名前で呼ぶこともしない(理由があるのですが)そうです。
それは、私たちの知らない世界の話でした。

ですから、かのんは今まで名前で呼ばれたことはなかったし
撫で撫でしながら「イイ子だね」と言ってもらったこともありません。
私たちからすれば信じられないようなことではあるけれど
かのんにしてみれば、それが当たり前の日常だったのです。

当のかのんは、クールな反応の犬だろうと勝手に想像していたのですが
私たちを見た途端、耳ペッタンのニコニコ顔ですり寄ってきて
初対面とは思えないくらい、甘える素振りを見せてくれました。
その天真爛漫な姿を目にして、「我が家に迎えよう!」と決めました。

かのんにとって、今までとはまったく違う日常が始まりました。
成犬を迎えるということの素晴らしさと、少しばかりの難しさとを
私たちも、これからう~んと味わっていくことになると思います。

はじめまして♪

ワタシは、かのん…だそうです。
かのん!」ってこえをかけられても、なんだかサッパリわからなくて
さいしょは、あたまのなかが「?」でイッパイでした。

だって、いままでナマエというものでよばれたことがなかったから。
でも、ワタシはかのんだって、だんだんわかってきました。

ワタシのあたらしいおうちには、ふたりのヒトがいて
そのヒトたちが、ワタシのあたらしいカゾクだっていってたけど
カゾクってなんなのかも、ほんとうはよくわかっていません。

きょうは、みなさんにはじめまして♪のごあいさつです。
センパイわんわんのかわいさには、どうやってもかなわないみたいだけど
ワタシにはワタシのあいらしさがあると、カゾクのヒトがいってくれました。

ミギもヒダリもわからないワタシですが、よろしくおねがいします。

出会いは突然に

タイトルを見て、「えぇっ?!まさか!!」と思われた方も多いことでしょう。
しかし、こうして書いている私自身が、実は一番驚いているのです。

揺れる心と日々向き合いながらも、かりんのいない生活に少しずつ慣れてきて
散歩している他所の犬を、「いいなぁ~」と羨ましく思いながら過ごすのも
悪くないかもしれないと思い始めていたところでした。

そんな我が家に、不意打ちのように飛びこんできた出会い。
まだかりんが元気だった頃の私が、今のこの状況を知ったとしたら
「もう迎えるの?ちょっと納得いかない」…と思ったに違いありません。
でも、これもひとつの縁なのだろうと思うことにしました。

というわけで、あまりにも突然でビックリ☆の展開となりましたが
3月26日、新しい家族を迎えました。

2歳8か月の柴犬の女の子で、名前はかのん
ゆっくりと家族になっていく日々を、数えきれないかりんの思い出とともに
ぼちぼち綴っていこうと思います。

閉め切らないドア

子供の頃、襖や障子などをキチンと閉めないで部屋に入ってくると
「ちゃんと閉めなさい」と厳しく叱られました。
なので、ちゃんとドアなどは閉めるようにしていたはず…でした。

でも、かりんと暮らすようになってからはドアをパタンと閉めてしまわず
ドアノブを回さなくても開けられるようにしていました。
どうしてかと言うと、かりんが鼻先でドアを押して入ってくるからです。

<本日のかりん:4歳>

ほら、こんなふうにね。

うっかり閉め切ってしまおうものなら、入りたくても入ることができず
かと言って、ドアをガリガリしたり吠えたりすることなく
ドアの外でじーっと開くのを待っていたっけ。

<クリスマスローズ、マトリカリア>

今でも、私は部屋のドアをパタンとは閉めていません。
それがクセになってしまっているというのもありますが
無意識のうちに、鼻先でドアを押して部屋に入ってくるかりんの姿を
思い浮かべているのかもしれません。